一生モノの、育てるジャケット
第8回目は、一世紀以上に渡って英国を代表するフィールドウェアを提案し続けている、BARBOUR(バブアー)をご紹介。
英国のモノを大事にする価値観も見事に反映された、長く愛せるジャケットの歴史を深掘りします。
イングランドの港町で誕生したブランド
1894年に、ジョン・バブアーによってイングランド北東部にある港町サウスシールズにて誕生した、イギリスを代表するアウトドア・ライフスタイルブランド。
ブランドのルーツであるカントリーウェアを皮切りに、現在では人々の生活を豊かにするライフスタイルブランドとして英国をはじめ、
アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、ニュージーランド、日本など世界40か国以上の国や地域で展開されています。
革新的だった防水ジャケットが、英国王室御用達へ
創業者ジョン・バブアーが、北海の不順な天候の下で働く多くの漁師や港湾労働者へ、高品質のワックスドクロスを用いた革新的な防水ジャケットを提供し、そこからBarbourの歴史が始まりました。
1936年には、3代目ダンカン・バブアーが熱狂的なモーターサイクリストということもあり、モーターサイクルジャケットを発表。
瞬く間に人気を博し、1950-70年代の全盛期にはライダーの7割がこの「インターナショナル」と呼ばれるジャケットを着用したと言われ、モーターサイクルジャケットの代名詞として支持を集めます。
60年代に入ると、ハンティング、フィッシング、乗馬といった英国のカントリーウェアに力を入れていくことで、英国を代表するアウトドア・ライフスタイルブランドとしての確固たる地位を築きます。
こうした真摯なモノづくりの姿勢と高い品質が評価され、1974年にエディンバラ公より、1982年に女王陛下より、そして1987年にはウェールズ皇太子殿下より、イギリス王室御用達(ロイヤル・ワラント)の栄誉を受けました。
現在ではアウトドア向けのみならず、メンズ、レディース、キッズ、ドッグと幅広いアイテムを展開し、他ブランドとのコラボレーションも積極的に行われています。
ワックスドジャケットの秘密に迫る
ワックスドジャケットはどんなコーディネートにもマッチするその普遍的なバランスから、世界中で今もなお愛され続けています。
乗馬用のジャケットから着想を得て1980年代に誕生した、バブアーを象徴するスタンダードな2大モデルをご紹介。
長く愛せるジャケットの秘密
ワックスドジャケットは、長年の使用や摩擦でワックスが抜け、機能が低下していくことがあります。
そこで、専用のワックスを使って定期的なメンテナンス(リワックス)を行うことでジャケットの寿命を延ばし、経年変化を楽しみながら長く楽しむことができます。
産業革命以降、大量生産、大量消費社会が一般的になった中、英国のモノを大事にする価値観、次の世代へと受け継ぐ精神性を重んじ、
自社製品を長く愛用してもらいたいという企業理念から「RE-WAX」というサービスや、別売りのワックス缶などが生まれました。
昨今、取り上げられるサスティナブルにも100年も前からその本質に直結し、再びサスティナブルなウェアとして再注目されています。
BEDALE(ビデイル)
1980年に乗馬用ジャケットとして誕生。馬にまたがりやすいようサイドベンツが設けられ、ラグランスリーブでジャケット丈が特徴。
袖口は厚みのあるリブニット仕様で乗馬の際に袖から風が侵入しないような作りになっています。
BEAUFORT(ビューフォート)
こちらは狩猟用のジャケットとして1983年に登場。
同じくラングランスリーブですが、ハンティングで仕留めた獲物を入れておける「Game(獲物) 」ポケットや、ジャケットも隠れる長めのミドル丈が大きな違いで、ビジネスシーンでもおすすめの一着。
ちなみにロンドンの金融街では、このポケットにニュースペーパーを入れて闊歩するビジネスマンを見かけるとか。
袖口はビデイルとは違い、狩猟時にすぐ腕まくりでき、ジャケットの袖に干渉しないことも挙げられます。